まともな人間になりたい

ここにはなにもない

東山魁夷展に行った

ああ、道の人かくらいにしか思っていなかった。

フランスかぶれのバカなので、ピエールボナール展に行くことにした。

せっかくだから東山魁夷も見とくかと思って入った。

それはそれは素晴らしい展覧会だった。

全ての絵が繊細で、画家の心づかいを受けていた。自然への敬意と今この瞬間を切り取りたいという思いがぶつかってくるが、決して重くはなく、見慣れた風景が心地よく胸に入ってきた。

ああ、世界は美しい。と語彙力のかけらもないがそんなことを思っていた。

素晴らしい素晴らしい素晴らしいと10000回くらい思った後に唐招提寺御影堂の襖絵。

今までで一番圧倒された。

もしかするとモネの睡蓮以上の衝撃だったかもしれない。

絵の端々まで鑑真への気遣いに溢れ、まるで初夏の海と山の香りがするかのような空間だった。

最晩年の作品はより画家の描きたい風景がクローズアップされ、本当に心をおくべき所を残そうとしている気がした。

絶筆となった作品も素晴らしく、人生の物語を読んだ気分になった。

帰宅して原田マハさんのエッセイを読み、さらに感動。

絵は画家だけでなく人の思いが宿るなと実感した。

 

この文を見返して思ったが、風景が美しいというのは当然で、そこに画家のその場の感情や目指すところが込められていた。それが手に取るように分かったので、感動したのだ。

 

ピエールボナールも大変興味深かったのでまた書くことにする。